怖バズ

深夜に読むと少し後悔する怖い話。

待合室|読み終わるとゾッとする

【ホラー短編】待合室


私があの病院の待合室で過ごした時の話をします。名前は美咲、20代後半のOLです。最近、体調を崩していたので、近くの総合病院に行きました。

待合室は薄暗くて静かでした。周りには何人かの患者がいましたが、みんなスマホに夢中で、誰も話しません。その雰囲気は不気味で、私もスマホに集中することにしました。

体調が悪いと、不安なことが頭をよぎります。私はネット掲示板に自分の症状を投稿して、心配事を吐き出すことにしました。投稿してすぐにコメントが付きました。

「その症状は、あの時のことだよね?」

誰も知らないはずの過去の出来事を指摘され、ぞっとしました。大学時代に関わっていた、ある事件のことを思い出しました。私はその事件の関係者として、警察に何度も呼ばれたことがあるのです。

気にしないようにしたかったのですが、周囲の患者たちが時折こちらを見ているのが気になりました。視線が合うとすぐに目を逸らすので、余計に不安になりました。さらに、看護師が通るたびに私に微笑むのですが、その笑顔が冷たく感じました。

掲示板を再度確認すると、コメントが増えていました。

「あなたのこと、ずっと見てるよ」「もう逃げられないよ」

他人の冗談だと考えようとしましたが、その瞬間、待合室の空気が一変しました。周囲の患者が全員こちらを見つめていました。恐怖で立ち上がった私は出口に向かいましたが、ドアが開きませんでした。

後ろから看護師が近づいてきて、「もう少し待ってください」と優しく言いました。その優しさが逆に怖かったです。

絶望的な気持ちで席に戻ると、掲示板には新たなコメントがありました。

「ここは、あなたの行くべき場所だよ」

その一文を読んで、私は周囲の患者たちの顔に目を向けました。驚いたことに、彼らは私が過去に関わった人々の顔をしていました。心の底から忘れたかった、あの時の知人たちです。

私の心臓は止まりそうなくらいに高鳴りました。どうして彼らがここにいるのか、理解できません。この場から逃げ出したいのに、体が動きません。

目の前に、記憶から消し去ったはずの自分自身が現れました。過去の私、その現実が一瞬で目の前に広がりました。私は、そのまま待合室の暗がりに引き込まれるように消えていきました。

最後に目を開けた時、そこは病院の霊安室でした。その場に横たわっていたのは、冷たく硬直した私自身の体でした。もう、すべてが終わっていたのです。

その瞬間、スマホの画面が点灯し、掲示板に最後のコメントが表示されました。

「次は、あなたの番だよ。」

その言葉とともに、霊安室のドアが音もなく開き、誰かが入ってくる気配がしました。冷たい風が私の頬を撫で、私は再び目を閉じました。恐怖が現実となり、私の運命が決まった瞬間でした。


管理人の考察

この作品は、待合室という身近な場所を舞台にしながら、巧妙に恐怖を引き出しています。美咲が直面する不気味な状況は、日常生活の延長に潜む異常性を浮き彫りにし、読者に深い恐怖をもたらします。

物語の冒頭は、病院の待合室という誰もが経験する普通の風景から始まります。しかし、そこに漂う薄暗い雰囲気や周囲の患者たちの無関心、そして美咲の不安が徐々に増していく様子が、読者の心を掴みます。特に、彼女の過去に関わるコメントが付くことで、恐怖が個人的なものとして迫ってきます。この「自分の知られざる過去が暴かれる」という状況は、心理的に非常に恐ろしい要素です。

気持ち悪いほど静かな待合室で、周囲の視線を感じる美咲の心の動きは、誰もが共感できるものです。このような状況に置かれれば、誰でも不安になり、逃げたくなるでしょう。彼女が逃げられない状況に追い込まれるにつれて、読者もその恐怖を体験します。「逃げられない」という絶望感が、物語の終わりに向けて緊張感を増幅させ、心臓が高鳴る瞬間を作り出します。

物語の後半では、美咲の過去が明らかになり、彼女が忘れたかった人々が再び現れることで、恐怖はさらに強まります。自分の過去が目の前に立ちはだかる状況は、誰しもが持つトラウマや後悔を刺激します。作者は「過去の自分」との対峙を通じて、恐怖をより一層引き立てています。

最後の展開、美咲が霊安室で横たわるシーンは衝撃的で、冷たさを感じさせます。彼女が既に逃げられなかったという事実が、読者に重くのしかかります。「次は、あなたの番だよ」というコメントは、まるで読者自身にも向けられているかのように感じさせ、恐怖が自身のものになってしまいます。この巧妙な終わり方が、作品の余韻を強烈に残します。

この物語が描くのは、ただのホラーではなく、過去と向き合わされることの恐怖です。生きている限り、私たちの行動や選択には、常に何らかの結果が伴います。それが時には、逃げられない運命として私たちを追い詰めることもあるのです。最後に美咲が見た光景、その瞬間にどれほどの恐怖が詰まっているのか、考えるだけで寒気がします。

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